超CSに向けた環境考察

 

 

7月14日の殿堂施行及びクエストパックの発売によって、環境が大きく変わる。その具体的な変化の予想が、本記事でとりあつかう中心的な内容である。

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環境変化の影響は、その後の大型大会で測られる傾向がある。

今回の環境変化後の大型大会は、8月10日の超CS2である。

 

本記事は、超CS2に向けたデッキ選択の一つの手掛かりとして、環境を予測することを目的とする。

 

環境の大きな変化の時点から約1か月という期間は、ある程度長い期間だと思う。

その期間内に、メタゲームは有機的に変動しつつ、新旧のデッキが活躍するだろう。非常にわくわくする。

そのような有機的変動も加味しつつ、環境予測を試みる。

 

本記事では、環境予測の素材として、①現環境の分布、②新殿堂のカードの分析、③クエストパックの新カードの分析、④殿堂施行に先駆けて新殿堂大会を開催しているDMVaultの結果を用いる。

 

①現環境の分布

現環境を測るのによく用いられる指標は、CSの入賞数である。

CSの入賞数は、母数との関連、他のデッキとの相性を、試合結果という形で最もわかりやすく表している。反面、母数やデッキ相性そのものが見えにくくなる危険性もあるが、多くのプレイヤーが試合結果を、メタゲームの参考にしていることは事実である。

 

CSの入賞デッキについては、マジック&ウィザーズの方々がまとめているので、こちらを参考にしよう。

https://twitter.com/kyubu16to1/status/1016211383136862208

コバさんのまとめによれば、1月から7月のCSで勝っている主なデッキは以下である。

最も勝っているデッキ:ドギラゴン剣

次点:ジョーカーズ

次々点:ハンデス

次々々点:ミラダンテ

 

ただ、この結果は今年に入ってからの累計であるので、直近の結果だけを見てみよう。

https://twitter.com/kyubu16to1/status/1016216928644259840

7月7日から7月8日にかけては、以下のようである。

最も勝っているデッキ:ジョーカーズ

次点:ドギラゴン剣

次々点:デスザーク

次々々点:ジャバランガループ

 

これらの結果を見比べると、ドギラゴン剣、ジョーカーズは、今年に入ってからも、直近でも、よく勝っているデッキである。

このようなアグレッシブなデッキに対するコントロール寄りのデッキが次々点、次々々点に位置づいている。

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そして、この傾向は、今年の累計も直近の結果も変わらないが、内容が異なっている。

つまり、コントロールデッキは、今年の類型では、ハンデス、ミラダンテが勝っているが、直近ではデスザークとジャバランガループが勝っている。

もちろん、直近でもミラダンテやハンデスが結果を残してはいる。

しかし、デスザークとジャバランガが多いようである。

その理由としては、①デスザークが、最も勝っているデッキであるジョーカーズに対してはっきりと強いため、

②ジャバランガループは、フィニッシュが安定しており、「ループマスターズ」と揶揄されるだけあって、DMではループが強いと考えられているため。また、ミラダンテやデスザ、ハンデスなどコントロール寄りのデッキに軒並み有利であるためと考えられる。

 

さらに、2ブロックとの関連も考えられる。すなわち、直近で勝っているデスザークとジャバランガループのパーツは2ブロック構築で使えるのに対して、ハンデスとミラダンテのパーツの多くは殿堂構築でのみ使うものが多いことも、このような環境分布の理由として考えられる。

プレイヤーの視点に立てば、少ないカード及び練習時間で、高い戦績を挙げることは効率的である。そのため、殿堂構築から2ブロック構築へのパーツの流用がよしとされることも、うなずける。

パーツの流用は、ドギラゴン剣よりもジョーカーズの使用を促している一因であるかもしれない(本考察では母数は考慮していないので、断言はできない)。

 

つまり、現環境は、

A.ドギラゴン剣とジョーカーズの2強

B.それらに対処するデッキも、次々点以下ではあるものの、ある程度成績を残している

C.2ブロックも意識したデッキ選択になる

と言えそうである。

以下、A.では、強いと思われるアグレッシブなデッキについて、B.では A.に対するデッキについて、C.では2ブロック構築との関連について、それぞれまとめる。

 

 

②新殿堂カードの分析

新殿堂カードは以下の4枚である。それぞれについて、考察してみよう。

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い)勝利のアパッチウララー

ドギラゴン剣のお供。

バスターアパッチからのお手軽ジャスキル打点の創出は圧巻。

攻撃的なカードかと思いきや、ボルシャックドギラゴンから捲ってコンボイを立てたり、

コントロール対面でヴォルグサンダーを投げつけたりできる器用な存在。

攻守ともに、 火闇バスターをはじめ、多くのバスターデッキを支えてきた。

このカードの殿堂によって、火闇バスターの衰退、レティ―シャによるリペア、リンネビーナスの復権、レヴィアターンによるキル打点の創出が予想される。

 

ろ)次元の霊峰

成長系の革命チェンジデッキのお供。

革命チェンジを持つ各種多色カードのお友達。

ドギラゴン剣が発売されてから再録までの間は、1枚1000円くらいして、ストレージ漁りに勤しんだのはいい思い出。

このカードの殿堂は、あまり大きな影響を与えないと考える。

その理由は、現時点で次元の霊峰を使うデッキがあまり多くはないため、

また、誕生の祈や、ディメンジョンゲート、未来設計図によるリペアが容易であるため、である。リペアが容易、というのは、どれも軽コストの自然文明であり、デッキに根本的な負担をかけずに、代替することができるためである。

 

は)ゼロの裏技ニヤリー・ゲット

ジョーカーズ専用ドロー呪文。

「ヤッタレニヤリーニヤリー」はジョーカーズの凶悪さを表す慣用句である。

ゼロ文明中心のジョーカーズが、各種メタカードが積まれているにもかかわらず、結果を残し続けてきたのは、このカードによるリソースの安定性が大きかったと考える。

ハンデスを悩ませ続けてきた壊れカードである。

したがって、このカードの殿堂は、ゼロt水ジョーカーズの衰退、ハンデスの台頭を促すと予想する。また、ジョーカーズの衰退に伴って、ジョーカーズのせいで戦えずにいたデッキが戻ってくるかもしれない。

 

に)プラチナ・ワルスラs

赤青バスターというデッキを生み出すのに貢献したカード。

また、墓地ソースとの相性も良く、かねてから殿堂が予測されていたカード。

私の友人は、版権の問題を指摘していた。

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2マナ圏の水クリーチャー全てと相性がよく、

特にオニカマスは、そのまま維持するか、ワルスラに進化するかという選択が可能で、

強力なメタビート性能を各種デッキに与えていた。

3ドロー1枚ディスカードも頭がおかしいし、

2打点あるのも頭がおかしい。

リソースを確保し、安定性をもたらしながら、アグレッシブに攻めることができた。

非常に優秀なカードだったと思う。

このカードの殿堂は、墓地ソースに根本的な変更を迫り、赤青バスターの衰退及び、ハンデスの台頭を促すと予想する。

 

以上を総合すると、

A1.ドギラゴン剣(赤青、青黒)の衰退とゼロジョーカーズの衰退

A2.ドギラゴン剣の衰退によって、踏み倒しを咎めるカードが積まれにくくなる

A3.ゼロジョーカーズの衰退によって、ジョーカーズに蓋をされていたデッキが息を盛り返す

B1.ドギラゴン剣やジョーカーズに対処していたデッキは無傷だったので、強力なままである

B2.その一方で、対処していたドギラゴン剣やジョーカーズが大幅に母数を減らすため、対処する対象を変えたコントロール寄りのデッキが台頭することが考えられる

B3.したがって、メタゲームには、大幅な変更が予測される

 

 ③クエストパックの新カードの分析

全てのカードを挙げるのもどうかと思うので、注目しているカードのみ扱う。

注目しているカードは、以下の3枚である。

 

ア)ポクチンちん

何より、名称アドが大きい。

また、単純にカードパワーが高い。

プレイヤーを問わない山回復を持ちながら、コスト踏み倒しメタにもなる。

ゼロ文明なので、どんなデッキにも入る可能性がある点も評価している。

しかし、3マナ支払わなければ着地できない点、自身は色を出せない点から、

環境における活躍は期待しにくい。

 

 

イ)カブトリアル・クーガ/ミステリー・ディザスター

みんな大好きミステリーキューブのリペア。

トリガーはついていないものの、5マナ踏み倒しですべてを終わらせるのはデュエルマスターズの醍醐味。

バスターが衰退すれば、踏み倒しを咎めるメタゲームになりにくいと考えられる。

そのため、ブーストからのディザスターでゲームをものにしてしまうデッキが登場することも想像に難くない。5マナであるため、最近人気のブライゼシュートよりも早く動ける点も〇。

ただし、結局はガチャであるため、安定性には不安が残る。

 

ウ)ドンドド・ドラ息子

ジョーカーズの台頭をにおわせるカード。

回収があるので、出して損をしないカードであり、マナカーブもとても良い。

(2マナヤッタレ→3マナ1軽減ドラ息子→4マナ1軽減JOE2メラビート)

できれば強いけど、安定性には不安が。

 

以上をまとめると、

A.殿堂後のドギラゴン剣やゼロジョーカーズのリペアとなる新カードは存在しない

B.新たにコントロールデッキが対処する対象として、キューブや赤ジョーカーズも考えられるが、安定性に懸念があることから、大多数を占めるとは考えにくい。

C.とはいえ、2ブロックでも使えるカードであることから、使おうとするプレイヤーはゼロではないだろう。

 

 

④DMVaultの大会結果

新殿堂が施行され、クエストパックの使用が可能となった、2018年6月29日以降の殿堂大会の結果を参考に検討してみよう。

DMVaultの結果については、黒木氏さんのTwitterを参考にした(@DM_vault)。

 

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(黒木氏さんのTwitterをもとに、筆者作成。入賞数1のものは「その他」とした)

 

なんということだろうか。

ジョーカーズは予想通り衰退しているものの、

 バスターが全く衰退していない。

 バスターの内訳をみると、以下の通りである。

5c:4件

火自然光:2件

火闇:1件

火水光:1件

どうやら、リンネビーナスを利用することが容易な5cバスターが中心のようである。

また、火自然光バスターは、防鎧やミクセルを搭載したメタビート型で、

踏み倒しを咎めながら、レティ―シャを搭載できる点が強みのようである。

火闇バスターは、ブラッドギアを搭載しており、6マナ圏の強カードは少ない。

バスターの効果で、嘘と盗みのエンターテイナーとブラッドギアを並べて殴りにいく構築のようだ。

火のクリーチャーが中心のため、ボルシャックドギラゴンによる受けが強力なようである。

火水光バスターは、ワルスラは殿堂したものの、ドレミとグレンニャーといった小型のクリーチャーを数多く搭載している。また、ミクセルのようなメタクリーチャーも積まれている。

さらに、クロックとホーリーという最上級シールドトリガークリーチャーを無理なく積むことができる点もこの色の強みだろう。

 

 

他に、ブライゼが大きく入賞数を伸ばしている。

5ターンで大きなムーブができることと、

sトリガーの厚さがブライゼシュートの入賞を後押ししていると考えられる。

 

さらに、新たに、アグレッシブなデッキとして轟轟轟ブランドが台頭している。

 

「新殿堂後はサザンが強い」と言われるように、サザンも入賞数を伸ばしている。サザンは、ドローによるリソースが安定し、かつ、オリオティスやミクセルといった軽量メタクリーチャーを採用できることから、定型化していない環境では、勝率が高くなる傾向にある。

 

これらをまとめると、以下のようになる。

A.ジョーカーズは衰退しているが、ドギラゴン剣は全く衰退していない。

A2.殿堂後のバスターは、①リンネビーナスによるアパッチウララーの代替(5c)あるいは、②光を搭載したメタビートに大きく分けられる。他に、火闇バスターも存在する。

B.アグレッシブなデッキに対処するデッキは、対処するデッキが定まっていないため、具体的な対策を十分に準備できていない。現状としては、ブライゼシュートや天門、青白ダンテ等、sトリガーによる対処あるいは、メタビートの代名詞であるサザンの使用が中心となっている。

C.2ブロックとの関係性に注目すると、轟轟轟ブランドが勢いを増してきそうである。

 

 

さて、以上を総括すると、以下のようにまとめられる。

A1.ジョーカーズが衰退するが、ドギラゴン剣は衰退しない

A2.そのため、ドギラゴン剣へのメタ(踏み倒しメタ)、及びドギラゴン剣をメタったドギラゴン剣は新環境後もなお健在である

A3.したがって、踏み倒しメタに弱いデッキは相変わらず厳しい位置につく

A4.ジョーカーズに代わるアグレッシブなデッキとして、轟轟轟ブランドが登場

B1.轟轟轟ブランドへの対処として、sトリガーが有効だと考えられる

B2.その結果、青白ミラダンテや天門、ブライゼシュートがコントロール寄りのデッキとして活躍

B3.ドギラゴン剣に有利のつくハンデスも、.轟轟轟ブランドへの対処が可能であれば、かなり活躍が期待できる。

B4.これらコントロール寄りのデッキに強いデッキとして、ジャバランガループが流行する可能性がある。

C.以上のデッキのうち、2ブロックとのパーツ共有が比較的簡単なものは、轟轟轟ブランド、ジャバランガループである。

 

 これらから、環境初期は、

バスター、轟轟轟ブランド、サザン、sトリガーの強いデッキ、ジャバランガループによって定義されると考えられる。

特に、火光系のバスターは、これら全てのデッキに対して回答を持っているため、殿堂施行後も一定数使われるだろうと思われる。

1週目(7月14日~16日)は火光系のバスターが強い。

そして、バスターが強ければ、ハンデスが増える。

これは、ジョーカーズの存在しない環境では、より強く主張できよう。

したがって、2週目(7月21日~22日)はハンデスが強い。(あるいは、1週目から強いかもしれない)

ハンデスが増えれば、ミラダンテやジャバランガが増える。

これらのデッキはバスターに有利がつくようにチューンしてくるだろう。

3週目(7月28日~29日)はミラダンテとジャバランガが強い。

4週目(8月4日~5日)は、これらの隙をついて、轟轟轟ブランドが勝利をもぎ取るようになり、環境初期へと戻っていく。

 

 

以上が、私の環境に対するあらかたの見方である。誤っている点、不十分な点も多々あると思うので、ぜひ色々な意見をいただきたい。

 

追伸

最後まで見ていただき、ありがとうございます。

うんこ中の暇つぶしにでもなれば、幸いです。